ボルネオの森1・てつぼく

てつぼく=鉄木。

紺屋町の「桜さくや」さんで、
いちばん先の細いお箸をくださいといったら、
これをすすめられた。

凶器にもなりうるこの先端は、
口に触れると心地よく、
一度使うと手放せなくなる。
といわれて使ってみたけど、なるほど納得。

で、そのお箸に材種を示すシールが付いていたのだけど、
あまり聞かない名前だなと気になって
デスク前のカウンターに貼っておいた。
三ヶ月くらい前のこと。

時が経って、ここはボルネオ。
イバン族が集まって住むロングハウス。

ポキッと折れてしまいそうなこの柱も、
どうやら「てつぼく」らしい。
あとから聞いた話だけど。

「てつぼく」は、南洋材。
南洋材とは、東南アジアなど熱帯地域で採れる木材の総称。
主に、ラワン、チーク、コクタンなど。
ただ、ラワンひとつとってみても、さまざまな材種があって、
こちらも総称。

「てつぼく」も同様で、細かく分ければ何種類かあるみたい。
ボルネオだけでしか採れないものも、ある。
と、現地ガイドさんが言っていた。

お箸に使われている「てつぼく」の産地はわからないけど、
こんな奥地からはるばる運ばれてきたものを、
日常、何気なく使っていた。

世界はつながっているんだ、なんて
少しうれしがってはみたものの、
何となく後ろめたい気持ちも残る。

南洋材って、使っていいんだっけ?