ボルネオの森4・泥炭

「土に還る」っていう言葉があるけど、
要するに、土の中の微生物が
自然界の死骸を
パクパク食べて分解してくれている。

日本では間伐がさかんに行われていて、
そこではわりと、切ったら切りっぱなし。
そのまま放置しておいても、やがて木は腐って「土に還る」。

一方で、ボルネオ(の一部)の土は、
そういう循環のしくみを持たない。
じめじめした湿地帯で、微生物に元気がないせいか、
木は、土に還らない。
木は木として残って、蓄積されていく。

土が炭のような状態になっている、ということになるのだけど、
その土を、「泥炭(でいたん)」とよぶらしい。

木は、空気中の炭素を固定化するといわれているけど、
泥炭もしかり。
土の中に、炭素をしっかりと封じ込めて、
逃さずにいてくれている。

ところが、うっそうと生い茂った木々が伐採され、
土の表面が空気にさらされると、
炭素と酸素が反応して二酸化炭素ができあがる(*)。

まして、火なんかついたら、
二酸化炭素がどばっと一気に放出されてしまう。
炭火焼きをすると、煙が出てくるのと一緒(**)。

それから、オイルパームは水に弱い植物だから、
土の水分を抜いて(土を乾燥させて)育てる。
肥料も加えたりするから、微生物が元気になって分解を始める。
その過程で、二酸化炭素がでる(***)。
と、いうことらしい。

森林伐採(*)、焼畑(**)、オイルパームプランテーション(***)。
この一連の流れが、
これまで地中に埋まっていた膨大な炭素を
二酸化炭素に変えてしまう。

ボルネオは、地球規模でとらえた
地球温暖化のホットスポットでもあった。
のであった。