ヒノキクラフトの「適材適所」
「適材適所」という言葉。
これは、人の能力を正しく判断して、最適な仕事につかせることをいいますが、
文字通り、「適当な素材を、適当な場所に使うこと」を語源にもつのだとか。
木にたずさわる仕事をしていると、
この言葉は常に意識することになります。。
ヒノキクラフトは、こちらも文字通りひのきを基調に家具をつくっていますが、
要所要所に杉や樺桜を使います。
いちばんわかりやすいのが、机の引き出し。
底板の部分に、杉を使っています。
左がひのきで、右が杉。
ひのきは、空気に触れていない部分にヤニがでることがあります。
地面に生えているときは、自分自身を水などの水害から守るために、
耐水性の高いヤニというネバネバ物質を出すらしいのです。
*ちなみに、ハンドボール競技に使われる「マツヤニ」は、松からとれるヤニです。
松はひのき以上にヤニを出しますが、粘りけの多い木材として知られています。
ひのきのヤニはアルコールなどで簡単にふき取れるのですが、
引き出しの内部は空気に触れる機会が少ないため、
ヤニが出てきてしまうことがまれにあります。
そのため、ほとんどヤニを出さない杉を、底板に使用してあります。
本棚や、棚モノの裏板に杉を使うのも、こういった理由からです。
また、杉に比べてひのきの香気が強いと思われがちですが、
杉の香りの方が長持ちします。
引き出しを開閉したときにふんわり香るのは、この杉のおかげです。
日本には、豊富な木材がありますが、
それを上手に使う知恵と技は、今も建築などの世界で受け継がれています。
でも、輸入材などがたくさん入り、
集成材や合板が多用されるようになって、
木の特性というのを知らなくても木造の家が建てられるようになりました。
といって建築の方まで話を膨らますとキリがないのですが。。
さしあたって、ヒノキクラフト流「適材適所」の一例でした。
木って、人間みたいにそれぞれ特徴があって、不思議ですね。。