椅子の中の椅子
昨日、本屋さんで立ち読みをしていたときのこと。
ふとキッチンの本を手に取り開いてみると、
何やら見覚えのある椅子が目に入りました。
「おっ」っと思い、すぐに確信しました。
それはまぎれもなく、ヒノキクラフトの人気商品「ライトチェア」でした。
下の写真は、お店に展示してあるものです。
掲載誌は「レアリテ キッチン」(発行:エクスナレッジ)で、
あたりまえのキッチンを作ろう、をコンセプトにした雑誌。
P8、P14~17あたりです。
主役がキッチンなので、椅子はテーブルとともにイメージ写真にしか使われていませんが、
一スタッフとして、これはかなり感動です。
広告記事でもなく、特集でもなく、
ただ何気なく日常の風景におさまっている「ライトチェア」を発見したとき、
やっぱりこれが、椅子の中の椅子だなと感じます。
似たようなことが、以前にもありました。
ご主人の実家で暮らしはじめた友人宅へおじゃましたときのこと。
何気なく座ろうとしたダイニングチェアをよく見ると、
なんとカバザクラで作られた「ライトチェア」でした。
まちがいないと思い裏を見せてもらうと、
ヒノキクラフトの社長の屋号が刻印されていました。
ヒノキクラフトは、ひのきを主材とした家具メーカーですが、
社長はもともと、広葉樹を使った家具の職人(というか作家というか)でした。
ライトチェアは、家具づくりを始めて間もない頃にデザインし
よく作っていたそうですが、
同じ作業を何度も繰り返すのが嫌いなようで、
微妙に形や素材を変えながら、注文分をその都度製作していたといいます。
写真がありました。
友人宅のライトチェアは、その職人時代につくったものだったのですが、
別にこれといって主張せず、その場所にとけ込み、
何ともいえない風合いをかもしだしていました。
このときも、かなり感動した記憶があります。
一人の人間が一生懸命考えて、一生懸命つくったものが、
日本のどこかの誰かの家の中で、日常何気なく使われているということが、
とてつもなく素朴でかっこいいことだなって、多分感じたからだと思うのですが。
いわゆる名作椅子、といったものは数多くあります。
ウェグナーの「Yチェア」とか、ボーエ・モーエンセンの「J39」とか、
イームズの「シェルチェア」とか、アアルトの「セブンチェア」とか。
いいです、すごく。
でも、無名だけど周りの雰囲気に馴染んで「しっくりきてる」椅子は、
それだけでとっても素敵だなと思います。
主張なんてしないで、ただそこにじーっとたたずんでいる「ライトチェア」は、
椅子自身もホントに幸せだと思います。
もちろん、使い手に大切にされていればこそですが。
そして、よく見ると無駄のない美しいプロポーションも、
まわりの空気に溶け込むために、なくてはならない要素です。
そして、そんなに値段が高くないことも。
こういったデザインエッセンスが、ヒノキクラフト商品に反映されていることをお伝えしつつ、
以上、ライトチェアにまつわる私個人の体験と見解でした。
ちなみに、「レアリテ キッチン」に掲載されているような木製キッチンは、
ヒノキクラフトでも製作しています。
高額なシステムキッチンに比べて、比較的安く提供できますので、
機能なんてそこそこでいい、シンプルな木製キッチンにこだわりたいという方は、
お気軽にご相談ください。