ベーハ小屋とは

昭和初期、タバコの葉っぱを乾燥させるために全国各地に建てられた

木造の乾燥小屋。

頭のてっぺんをひょいっとつまみ出したような越屋根(こしやね)が特徴で、

現存するベーハ小屋はここ香川県がもっとも多いとされている。

田畑や自然にほどよく溶け込んで、

どこか懐かしい原風景をつくりだしている。

ベーハとは米葉、アメリカ産のタバコの葉っぱを意味する。

ある一時代の産業を支えてきたこの小屋は、

時代とともに急速に取り壊されつつあるが、

その朽ちていく姿は、

今も多くの人を魅了し続けている。

ベーハ小屋に魅力を感じるひとは、きっと少なくない。
その姿に心惹かれるのはなぜかと考えるのだけれど、
それがかつて生き生きと輝いていた時代があったこと、
そしてその地に暮らすひとびとと深い関わりをもってきたことと無関係ではないように思う。

周囲に溶け込むその姿は、
時を経て色あせるとともに角がとれて柔和になり、
まるで一時代を精一杯生きた人間の穏やかな表情にも似ていて、
潔さすら感じられる。

地元の素材をつかって簡素に建てた建築はまた、
やがては土に還る。
そういう建築のありかたがきっと自然な流れなんだろうし、
私たちは無意識にそういうことを連想すると思うのです。

このベーハ小屋、
特別なものでも何でもなくて、
ちょっと古いまちに案外残っていたりもします。
見つけたら、ベーハ小屋だと気づいてあげてください。

ベーハ小屋研究の第一人者、菅さんの記事